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心裡留保の判決

 投稿者:OHANA  投稿日:2017年11月 1日(水)11時47分37秒
  ここに書いたら誰か私を助けてくれますか?
心裡留保なんて分からない。
騙しましたと言っていいと裁判官は言ってる。
裁判官も弁護士も信じられないです。
 
 

今年度の松岡会

 投稿者:松岡久和  投稿日:2016年 9月 1日(木)15時29分11秒
   ゼミのOB会である松岡会(https://www.facebook.com/groups/380975412002905/
の現役幹事からFacebookの松岡会のページに次のご案内が載りましたが、グループ登録をしていただいている人が少ないので、この掲示板にも転載させていただきます。
------------------------------
お世話になります。
15期幹事の脇田です。
今年度の松岡会まであと1ヶ月弱となりました。
現在、各期の幹事の皆様に出席確認をとって頂いております。
幹事の方へのご連絡が難しい方は私の方へ直接ご連絡頂ければと思います。以下私の連絡先を記載させて頂きます。
mail:sb634dzfn@i.softbank.jp
line:shuuuun0527
そして、以下日時等の詳細になります。
【日時】 9月24日(土) 17時~19時半頃(16時頃受付開始)
【場所】 京都ロイヤルホテル&スパ http://kyoto-royal.ishinhotels.com
【会費】 学生4000円 社会人9000円(人数の関係により変動する可能性があります)
今年は松岡先生が還暦をお迎えになられましたので、盛大に行いたいと思っております。その一環として、会の始めに様々な分野でご活躍されていらっしゃる松岡ゼミの卒業生の方と松岡先生との座談会も企画しております。
ご予定の合う方は是非ご参加下さい。
また、ホテル近くの居酒屋での二次会も予定しておりますので、そちらの方にも皆様ぜひご参加下さい。
よろしくお願いします。
長文失礼致しました。
 

第3回ゼミ(4月25日)の検討問題

 投稿者:松岡久和  投稿日:2016年 4月24日(日)11時44分34秒
  契約の不成立・無効と94条2項類推適用

 平成19年6月17日、Xが、自宅において、自らの所有する本件土地と地上の建物(あわせて甲という。)を、Y1社に5000万円で売却する契約(本件売買契約)を締結し、Y1が移転登記を備えた。その後、Y2をY1の債権者とする極度額5億円の本件根抵当権設定登記がされている。
 Xが、①本件売買契約を締結した覚えはなく、本件売買契約は成立していない、②本件売買契約を締結したとしても、その当時意思能力を欠いていたため無効である、として所有権に基づいて、Y1に甲の移転登記の抹消を、Y2に本件根抵当権設定登記の抹消を求めた。
 Y1・Y2は、①②を争った。また、本件売買契約が不成立または無効であったと判断される場合に備えて、Y1は、移転登記の抹消はXに支払った代金の半分2500万円の返還と引換えとするべきだ、と主張した。さらに、Y2は、自らは契約の不成立や無効を知らず、Xが本件移転登記の作出に積極的に関与したことから、94条2項が類推適用され抵当権設定は有効である、と主張した。これに対して、Xは2500万円を受け取っていない、Xには帰責性はないと争った。

 裁判所が認定した以下の事実から、Xの請求の可否を考えなさい。
[1] 本件売買契約の契約書や登記申請書に用いられた署名の筆跡はXのものであり、陰影は印鑑登録証明書の陰影と一致している。
[2] Xは、本件売買契約当時、90歳の男性である。Y1は、演芸、スポーツ及び音楽に関する興行の企画、実施等を目的とする株式会社である。Y2は、不動産業に携わっている者であり、Y1の設立者であり元代表取締役である。
[3] Xは、その妻であるAと2人で、本件建物の5階及び6階に居住し、本件建物の他の階の賃料(月額合計105万円)と年金(2か月毎に73566円)を主な収入として生活しており、本件不動産以外には特にめぼしい資産を持っていなかった。
[4] Aは、当時、糖尿病及び認知症にかかっていて、要介護状態にあった。XとAの間には、2人の子供がいるが、いずれもXとは別居しており、Xと会うのは年に1回程度、電話をするのは数か月に1回程度であった。
[5] Xは、本件売買契約当時まで、本件建物の管理人をしており、平成18年までは、本件建物の賃借人らに対し、毎月の賃料と共に、毎月の電気代及び2か月ごとの水道代を請求して受領していた。しかし、平成19年1月ころから、Xは、本件建物の賃借人らに対し、電気代及び水道代の請求をしなくなった(現在もしていない)。
[6] 平成19年8月16日、Xは、同年8月16日、病院で、記銘力及び計算力の障害並びに構成障害の認められる中等度ないしやや高度の老人性認知症に罹患していると診断された。
[7] 本件不動産は査定書において3億2000万円ないし3億9000万円とされている。
[8] 本件不動産には、本件根抵当権登記のほかに、債務者をXとする平成2年8月4日付けの極度額8000万円、根抵当権者C銀行の根抵当権設定登記が存在し、Cに対する残債務額は約5000万円であった。
[9] 平成19年6月21日、Xは、Y1の代理人Dが持参した本件契約書に署名をし、Dに実印を渡して押印させた。本件契約書では、所有権移転、引渡し及び登記手続の日は同日とされ、売買代金は同年8月31日までに5000万円を支払うとされており、また、Xは本件不動産に係る根抵当権設定登記を消除する義務を負わないこととされた。
[10] Y1は同日に代金額の一部2500万円をXに支払ったと主張しているが、同日付でXから交付を受けたXの署名捺印のある領収書の金額は5000万円となっていた(訴訟において、その点に関するY1からの合理的な説明はされていない)。
[11] Xは、本件不動産の登記済証、Xの印鑑登録証明書、「賃貸人変更に関するご通知」と題する、本件建物の賃借人らに対し、Y1がXから本件不動産を買い取り、Xの賃貸人たる地位を承継したので、Y1の指定する口座に賃料等を振り込むよう依頼する旨の書面、委任状等に署名し、Dに実印を押させた上、Dに対してこれを交付した。同日、DがXとY1を代理して甲の移転登記手続を申請し、登記がされた。
[12] 平成19年6月21日以降現在に至るまで、Xが、当時有していた銀行預金口座および郵貯センターの貯金口座において、100万円以上の金員が一度に入金されたことはなかった。Xが高額の商品等を購入した形跡は見当たらず、多額の現金を保有してもいない。
[13] 同年6月28日、Y2はY1に3000万円を貸し付けたとして(この契約書や借用証書は提出されていない)、この返還債権を担保するため、甲につき極度額5億円の本件根抵当権を設定し、7月3日に設定登記がされた。
[14] 同年7月9日、Xが自宅を訪れた介護士に本件売買契約の話をしたところから問題が発覚し、Xは家族と相談した後、本件訴訟を提起した。
 

第2回ゼミ(4月18日)の検討問題

 投稿者:松岡久和  投稿日:2016年 4月16日(土)11時33分48秒
  保証契約と錯誤

 次の2つの問題について考えなさい。ゼミでの討議は、基本問題である1は略して、2のみでよい。

 1 AはXから融資を受けるに際して連帯保証人を求められ、資産家の義兄Bと友人Yに連帯保証を頼んだ。Aは、Yに連帯保証人となることを依頼するときには、「君には決して迷惑をかけることはない。万一自分が払えなくても義兄Bに支払ってもらう。」旨を告げて安心させ、YはXとの間でAの債務を連帯保証する契約を結んだ。ところが、Bは結局連帯保証人となることを承諾しなかった。Aが借入金返済債務を遅滞したので、XがYに対して連帯保証債務の履行を請求した。Yは連帯保証契約の錯誤無効を主張できるか。

 2 中小企業であるAはXから融資を受けるに際して連帯保証人を求められ、Xから紹介されたY信用保証協会に連帯保証人となることを依頼した。XとYの信用保証協会法に基づく基本契約には、Xが「保証契約に違反したとき」にはYが免責される旨の条項が定められていた。平成20年7月に、Yは、AがXと自らの審査基準をみたしていたことから、Xとの間でAの債務合計8000万円を連帯保証する契約を結んだ。
 契約時点以前(平成20年6月まで)に、企業と反社会勢力との取引関係等の遮断を基本原則とする政府指針や金融庁および中小企業庁の信用保証協会向けの監督指針が出されていたが、XもYもAがフロント企業(企業舎弟)に当たることを知らなかった。平成22年12月、国交省関東地方整備局等は、警視庁から、実質的経営者が暴力団員であるAを公共工事から排除するよう要請され、Aに指名停止を通知した。平成23年3月、Aは手形交換所の取引停止処分を受け、本件の借入金債務について期限の利益を喪失した。
 XがYに対して連帯保証債務の履行を請求した。Yは連帯保証契約の錯誤無効や免責条項による免責を主張できるか(今回は錯誤無効だけを検討すればよいものとする)。
 

2016年度前期第1回ゼミの検討問題

 投稿者:松岡久和  投稿日:2016年 4月 5日(火)15時12分33秒
  2016年度第1回ゼミ検討問題
                          占有の訴えと本権の訴え
                                                                              2016年4月11日
 次の訴訟の記録を読んで、その結果について考えなさい。
 本問の狙い:地裁の判決文を読んで当事者の主張と争点を理解することに慣れる。
            簡単な条文適用問題を素材に議論の仕方を勉強する。
            占有の訴えと本権の訴えの関係について理解する。
            事件の妥当な解決を模索する。

原告(反訴被告) X
同代表者代表取締役 A
被告(反訴原告) Y
同代表者代表取締役 B

       事実及び理由
第1 請求
1 本訴事件
 Yは、Xに対し、本件建物を引き渡せ。
2 反訴事件
(1)Xは、Yに対し、本件建物を明け渡せ。
(2)Xは、Yに対し、平成27年4月1日から本件建物の明渡済まで1か月10万円の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要
1(1)本訴事件は、XがYに対し、本件建物の賃貸借契約又は占有権に基づき、本件建物の引渡しを求めた事案である。
(2)反訴事件は、YがXに対し、本件建物の賃貸借契約の終了に基づき、本件建物の明渡しを求めるとともに、同契約に基づき、平成27年4月1日から本件建物明渡済まで1か月10万円の割合による賃料相当損害金の支払を求めた事案である。
2 争いのない事実
(1)Xは、文具、事務用品の製造、加工並びに販売などを業とする株式会社である。
 Yは、不動産の売買、管理並びに賃貸などを業とする株式会社である。
(2)Yは、Xに対し、平成18年8月、以下の約定により、本件建物を賃貸し、これを引き渡した。
ア 使用目的 Xの事務所として使用する。 イ 期間 定めなし。
ウ 賃料 毎月末日限り、翌月分として10万円(消費税込み)を支払う。
(3)Yは、平成27年2月14日、Xに無断で本件建物の鍵を交換した。
(4)ア Xは、平成26年1月分までの賃料を支払期限までに、支払った。
イ Xは、平成27年1月31日、Y名義の銀行預金口座に20万円を振り込んだ。
ウ Xは、平成27年3月31日、Y名義の銀行預金口座に120万円を振り込んだ。
3 争点
(1)占有侵奪の有無、(2)賃貸借契約の解除の成否、(3)賃料相当損害金等請求権の有無、(4)相殺の成否
4 争点に関する当事者の主張
(1)争点(1)(占有侵奪の有無)について
ア Xの主張
 Yは、平成27年2月14日、Xに無断で、本件建物の出入口の鍵を交換し、以後、Xが本件建物を利用できなくして、Xの占有を侵奪した。
 占有とは、ある物が、社会観念上、その人の事実的支配内に属していると認められることであるが、Yは、本件建物の出入口の鍵を交換した上で施錠し、その鍵を自らが保管している。つまり、Xを含め、Y以外の第三者は、本件建物の出入口を破壊しなければ、本件建物に立ち入ることはできないのであるから、Yが、社会観念上、本件建物を事実的支配内に納めていることは明らかである。
イ Yの主張
 否認ないし争う。Yが平成27年2月14日に本件建物の出入口の鍵を交換したことは認めるが、Xの占有を侵奪したものではなく、本件建物の占有は依然としてXにある。本件建物は、依然として、Xの所有物によって全面的に占有されており、Yは、それらの所有物に全く触れることなく、ただ単に、入口の扉の鍵を交換しただけである。
(2)争点(2)(賃貸借契約の解除の成否)について
ア Yの主張
(ア)Xは、平成26年2月分(同年1月31日支払期限)以降の賃料の支払を停止した。
(イ)そこで、Yは、Xに対し、毎月1回請求書を送り、かつ、Xが未払賃料等を支払わない場合は本件賃貸借契約を解除する旨の予告を続けた。
(ウ)Yは、Xに対し、平成27年1月22日付内容証明郵便により、平成26年12月31日時点の未払賃料等の合計である120万円の支払を請求するとともに、同書面到達後1週間以内に支払がない場合は本件賃貸借契約を解除する旨の意思表示をした。
 Yは、上記の内容証明郵便を、Xの本社及びAの自宅に各1通ずつ発送し、X本社宛の郵便が平成27年1月23日、A宛の郵便が同年1月24日に配達されたが、いずれも受領されず郵便局に保管され、保管期間(7日間)経過の後、Yに還付された。よって、意思表示は、保管期間満了日をもってXに到達した(最判平10年6月11日民集52巻4号1034頁)。
(エ)Yは、平成27年1月22日、上記の内容証明郵便と同一文面の書面を、Xの本社宛に普通郵便で送付し、また、Aの自宅の郵便ポストに投函した。
 普通郵便は遅くとも発送してから2日後の平成27年1月24日には配達され、Xに到達した。
(オ)本件賃貸借契約は、遅くとも、平成27年1月31日の経過により解除により終了した。
イ Xの主張
(ア)上記ア(ア)の事実は認める。ただし、Xは、平成27年1月31日に20万円、同年3月31日に120万円を支払っている。
(イ)同(イ)の事実は否認する。
(ウ)同(ウ)ないし(オ)の事実は否認ないし争う。
 Xは、Yが主張している内容証明郵便等を受領していないから、解除の意思表示は到達しておらず、本件賃貸借契約が解除により終了することはない。
 平成27年1月22日にBが投函した手紙には、解除の意思表示はされていない。同手紙には内容証明郵便を同封する旨の記載がない。
(3)賃料相当損害金等請求権の有無
ア Yの主張
(ア)Xは、平成27年2月14日以降も、本件建物を占有している。
(イ)Xは、平成27年4月分以降の賃料相当損害金を支払わない。
イ Xの主張
 争う。Yは、平成27年2月14日以降、Xが本件建物を利用できない状態にしている。
(4)相殺の成否
ア Xの主張
(ア)Xは、平成18年8月以降、本件賃貸借契約に基づき、本件建物を賃借し、本店所在地として、文具、事務用品の販売等の事業を行っていた。
(イ)ところが、Yは、平成27年2月14日、Xに無断で、本件建物の鍵を交換し、Xから本件建物の占有を侵奪した。
(ウ)そのため、Xは、平成27年2月14日以降現在に至るまで、本件建物はもちろん、本件建物内にあるパソコン、書類、得意先データその他のXの事業に必要なデータなども一切利用できなくなり、その事業活動を停止せざるを得ないこととなった。
(エ)以上により、Xは、Yに対し、民法200条又は賃貸借契約の債務不履行に基づき損害賠償請求権を有する。
(オ)損害額
 Xの過去3年分の売上の総利益は、1年当たり、少なくとも平均額である3000万円の損害を受けた。
(カ)Xは、Yに対し、本件第5回弁論準備期日(平成28年4月8日)において、上記の損害賠償請求権をもって、本件反訴請求債権とその対当額で相殺する旨の意思表示をした。
イ Yの主張
 争う。
 

後期第1回ゼミの問題(判例演習+α)

 投稿者:松岡 久和  投稿日:2014年10月 4日(土)16時08分11秒
              「時効と登記・再度の時効取得?」

 1970年3月、XはAからその所有する本件土地甲を買い受けてその引渡しを受けたが、移転登記を備えないまま、サトウキビの作付けをして占有を開始し、以後、本件訴訟の事実審の口頭弁論終結時現在まで占有を続けていた。
 一方、Aは1972年に死亡し、Aの子のBが1982年に相続を原因とする甲の移転登記を行い、次いで、1984年にYに対して本件抵当権を設定しその登記をした。Xは、抵当権の設定等の事実を知らず、抵当権設定登記時において、甲を所有すると信ずるにつき善意かつ無過失であった。
 2006年、Yが抵当権の実行として本件土地の競売手続を申し立て、差押えの登記がされたので、Xが執行停止を申し立て、2008年に本件訴訟を提起し、別途Bに対して提起した所有権移転登記手続等請求事件の訴状において本件土地の取得時効を援用した。

 1) この場合、後述平成24年判決は、Xの請求は認めているが、どういう理由か。YがXの時効援用を争う根拠とした後述平成15年判決とどこが違うのか。

 2) 事例を少し変形して、Xが執行停止の申立てをする前に、競売が実行されて、2007年にZが買い受けて登記名義を備えている場合、XはZに対して、時効取得した所有権に基づいて移転登記の請求をすることができるか。

参照
【平成15年判決:最判平15・10・31判時1846号7頁】
 Xが20年間占有を継続したことにより時効取得した土地につき、登記名義人Aに対する勝訴判決を得て時効取得を原因とする所有権移転登記の完了する前にAからBに抵当権の設定登記がされた。Xは、当該抵当権の設定登記の日から更に10年間占有を継続したとして、再度取得時効を援用し、抵当権を譲り受けたYに対し、抵当権設定登記の抹消登記手続きを求めた。
 最高裁は、請求を認容した原審判決を破棄し、請求を棄却。
 判旨:Xは、当初の取得時効の援用により、本件土地を原始取得し、その旨の登記を有している。「Xは、上記時効の援用により確定的に本件土地の所有権を取得したものであるから、このような場合に、起算点を後の時点にずらせて、再度、取得時効の完成を主張し、これを援用することはできないものというべきである。そうすると、Xは、上記時効の完成後に設定された本件抵当権を譲り受けたYに対し、本件抵当権の設定登記の抹消登記手続を請求することはできない。」

【平成24年判決:最判平24・3・16民集66巻5号2321頁】
 設例(1)そのままの事例についてXを勝たせた原審判決を維持し上告を棄却。
 判旨:「時効取得者と取得時効の完成後に抵当権の設定を受けてその設定登記をした者との関係が対抗問題となることは、所論のとおりである。しかし、不動産の取得時効の完成後、所有権移転登記がされることのないまま、第三者が原所有者から抵当権の設定を受けて抵当権設定登記を了した場合において、上記不動産の時効取得者である占有者が、その後引き続き時効取得に必要な期間占有を継続したときは、上記占有者が上記抵当権の存在を容認していたなど抵当権の消滅を妨げる特段の事情がない限り、上記占有者は、上記不動産を時効取得し、その結果、上記抵当権は消滅すると解するのが相当である。その理由は、以下のとおりである。
 ア 取得時効の完成後、所有権移転登記がされないうちに、第三者が原所有者から抵当権の設定を受けて抵当権設定登記を了したならば、占有者がその後にいかに長期間占有を継続しても抵当権の負担のない所有権を取得することができないと解することは、長期間にわたる継続的な占有を占有の態様に応じて保護すべきものとする時効制度の趣旨に鑑みれば、是認し難いというべきである。
 イ そして、不動産の取得時効の完成後所有権移転登記を了する前に、第三者に上記不動産が譲渡され、その旨の登記がされた場合において、占有者が、上記登記後に、なお引き続き時効取得に要する期間占有を継続したときは、占有者は、上記第三者に対し、登記なくして時効取得を対抗し得るものと解されるところ(最高裁昭和34年(オ)第779号同36年7月20日第一小法廷判決・民集15巻7号1903頁)、不動産の取得時効の完成後所有権移転登記を了する前に、第三者が上記不動産につき抵当権の設定を受け、その登記がされた場合には、占有者は、自らが時効取得した不動産につき抵当権による制限を受け、これが実行されると自らの所有権の取得自体を買受人に対抗することができない地位に立たされるのであって、上記登記がされた時から占有者と抵当権者との間に上記のような権利の対立関係が生ずるものと解され、かかる事態は、上記不動産が第三者に譲渡され、その旨の登記がされた場合に比肩するということができる。また、上記判例によれば、取得時効の完成後に所有権を得た第三者は、占有者が引き続き占有を継続した場合に、所有権を失うことがあり、それと比べて、取得時効の完成後に抵当権の設定を受けた第三者が上記の場合に保護されることとなるのは、不均衡である。

ヒント
【時効の5準則】
 ①当事者準則1:起算点と完成時で登記名義人に変更がない場合、時効取得は登記なくして登記名義人に対抗できる(177条不適用)。
 ②当事者準則2:時効完成前に登記名義人から権利を取得した第三者に対しても、時効取得は登記なくしてその第三者に対抗できる(177条不適用)。
 ③第三者準則:時効完成後に登記名義人から権利を取得した第三者に対しては、時効取得は登記がなければ対抗できない(177条適用)。
 ④起算点固定準則:時効の起算点を任意に選択することはできない。
 ⑤敗者復活準則:③の第三者準則によって敗れる占有者は、第三者の登記後に時効取得に必要な期間さらに占有を継続すれば、登記名義人に対して時効取得を登記なくして対抗できる(177条不適用)。
 

7月7日の問題で

 投稿者:岡本哲  投稿日:2014年 7月23日(水)00時16分23秒
  刑事告訴告発をすぐ考えるミンボー弁護士としては、A社の貸金業法違反や出資法の高金利要求罪が実務的には視野にはいります。移転登記の手数料をYが負担していれば、出資法5条の4第4項、だしていなくても清算義務を履行していな時点で出資法5条2項で5年以下の懲役または1000万円以下の罰金またはこれの併科となります。けっこう重い犯罪です。売買契約の無効が問題となるとX業務妨害罪等も考えにはいってきます。  

7月7日のゼミの検討問題(微修正版)

 投稿者:松岡 久和  投稿日:2014年 7月 7日(月)23時15分9秒
                    「不動産は渡さない」事件

 2013年7月1日、Y社はA社から利率20%、期間1年という約定で3000万円の融資を受け、元利金債務の担保として、駐車場として使用している甲地(時価5000万円)を譲渡し、Aに対して「譲渡担保」を登記原因とする移転登記を行った。この譲渡担保契約では、甲は引き続きYが駐車場としてのみ使用することが許されること、1年内に元利金3600万円を弁済すれば、YはAから甲を買い戻すことができること、などが約定されていた。
 2013年8月16日にYは、地域自治体の盆踊り大会に甲を開放し櫓を設置したが、盆踊り以降も櫓を駐車場の整理用に使用している。
 定時株主総会でこの譲渡担保設定による緊急事業資金融資の点に批判を浴びることを危惧したYは、その営業部長に、弁済期として約定された2014年6月30日の10日前の20日に、利息制限法所定の最高利率15%で計算した3450万円の小切手を持参させたが、Aは、甲への櫓の設置が契約違反であるなどと主張して小切手の受領を拒み、甲のYからAへの移転登記の抹消登記請求に必要な書類を渡さなかった。資金運用が苦しかったYは、供託をせず、この小切手を仕入れ先への債務の弁済の一部に使用し、30日に改めて電話で元利金の口頭の提供を行ったが、弁済受領を拒絶するAの態度が変わらなかったので、3450万円を弁済供託した。
 7月5日、Aは甲をXに4200万円で売却し、7日にAからXへの移転登記が行われた。XはYの弁済提供の事実を知らず、弁済期徒過によるAの適法な譲渡担保権の実行としての転売だと思って買い受けた。同日早朝、Xは甲の接道部分にポールを立てて自動車の進入を防ぐ措置を取るとともに、Yに対して、甲の使用禁止を申し渡し、櫓および週末から駐車されていたYの営業車2台の撤去を求めた。
 資金的余裕がない場合、Yはどういう対応策をとることが考えられるか。

【参考判例】
 ①最判昭34・9・3民集13巻11号1357頁 不動産を売渡担保に供した者は、担保権者が約に反して担保不動産を他に譲渡したことによって担保権者に対して担保物返還義務の不履行による損害賠償債権を取得するが、この債権を被担保債権として、右不動産の譲受人からの明渡請求に対し、留置権を主張することはできない。
 ②最判平9・4・11裁民183号241頁(裁判所ウェッブサイトにも掲載) 譲渡担保権設定者は、譲渡担保権の実行として譲渡された不動産を取得した者からの明渡請求に対し、譲渡担保権者に対する清算金支払請求権を被担保債権とする留置権を主張することができる。

                                                                        完全自作
 

星野英一・民法概論

 投稿者:松岡 久和  投稿日:2014年 6月 9日(月)14時35分44秒
   岡本先生、お久しぶりです。21日に書き込んでもらったのに今日まで気づきませんでした。

 星野英一先生の『民法概論』は、コンパクトですが、星野先生の意見がきちんと書き込まれていて、良い本でした。当時は我妻・民法講義のサブセットくらいにしか見ていなかったのですが、それは見る目がなかっただけでした。

 確信がないので断言しませんが、出版元の良書普及会は、もう存在しないようです。WEBで古書として注文するか、図書館で借りるかしかありません。
 

6月9日のゼミの検討問題

 投稿者:松岡 久和  投稿日:2014年 6月 9日(月)14時25分57秒
  「代理の三事件」

 個人商店(Y商店)を経営するYの店員Aは、Yに発注先の選択を任され、X社にY商店の名前で(担当Aと明記)10グロスの商品甲をファックスで注文した。次の各場合において、YはXからの代金請求に応じなければならないか。

 1 YがAに頼んだのは10ダースの商品甲の発注だったのに、聞き違えたAが10グロスの注文をした場合。

 2 過去にYがAに商品乙を10グロスの発注を頼んだことはあったが、商品甲の発注を頼んだ事実はなく、Aが勝手に商品甲を注文した場合。YがAを普段から発注担当者としていたかどうかで違いがあるか意識して論じなさい。

 3 YはたしかにAに商品甲を10グロス発注するように頼んでいたが、発注先の選定や代金額の交渉も任されていたAが、Xが高い単価見積もりを出していたにもかかわらず、かねてから友人BがXの販売担当を勤めていて、Yには内緒でバック・マージンをAに払ってくれるというので、Xからの購入を決定した場合。


 ※出典はゼミの際に配布するものに記します。
 

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